概要
人間健康科学科主催の新生児蘇生講習会が6月9日(木)医学部付属病院中央診療棟にて開催された。 講習会は午前から講義が始まり、午後から実技およびプレテストが行われた。 LIMSの学生は午後の実技に参加し、新生児マネキンを使った人工呼吸および胸骨圧迫法の講習を受けた。 新生児マネキンはSimPadと連携しており、バイタルシミュレーションで状態を確認しながら蘇生法を行う事が出来、高いトレーニング効果が期待できる。 また、中央診療棟の分娩室を見学し、実際に使われている器具を使いながら口頭によるケーススタディを行った。
参加者の声
出生直後に正常呼吸を行うことのできない新生児は10%程度存在し, 更にその約10%は新生児心肺蘇生法(Neonatal CardioPulmonary Resuscitation, NCPR)による積極的介入を行わなければ死亡に至る可能性が極めて高いとされる. しかしながらNCPRの実施には手際の良い呼吸・心拍確認や的確な薬剤投与判断が求められるため, 十分な経験・訓練を積む必要がある. 本講習会で学んだSimPadシステムは新生児マネキンに筋緊張やチアノーゼといった生体反応を忠実に再現させる医師・助産師のためのシミュレーション教育ツールである. 講習会参加前は新生児に人工呼吸や胸骨圧迫を自動で実施してくれる装置かと勘違いしていたが, 今回のように迅速かつ柔軟な対応が求められる臨床現場ではそのような装置の開発は困難であり, むしろ教育システム開発側に大きな需要があることを学ぶことができた。
日本では年間10万人以上の新生児が、出生時の呼吸循環の安定のため何らかの処置を必要とする。このような危険な状態の新生児を救う手法をまとめたものが新生児蘇生法(NCPR)である。私が参加した講習会では、まず人工呼吸、胸骨圧迫等の基本的な手法を学んだ。新生児用人工呼吸器は扱い方が難しく、このように講習会で経験を積むことの必要性を実感した。その後SimPadと新生児のマネキンを用いて実践的なシミュレーションを行った。呼吸の有無、心拍数などの様々な新生児の状態をSimPadを用いて再現することにより、受講者自らの判断で適切な処置を施す必要があり、現場での判断力を養うことができると感じた。今まで医療現場で活躍できる医療機器ばかり注視していたが、このような医療現場を支援する機器もまた非常に重要であることを認識できた。今後はLIMSとしても、このような間接的に医療を支援する機器開発に目を向けていくべきだと感じた。