メッセージ

プログラム・コーディネータからのことば

医工連携ということが重要であると言われて久しいですが、本プログラムは、「充実した医学研究環境に触れつつ工学や薬学を学ぶ」という発想で、工学や薬学の基礎・応用研究に加えて医学の基礎から臨床、介護までを学び、医学、工学、薬学の垣根を越えた新しい研究領域を開拓していくことができるリーダー育成を目的としております。
高齢者医療・介護は、特に高齢化が顕著に進んでいる日本で、長い健康長寿を達成するための必須の条件の一つです。単に病院で行う医療だけではなく、一般家庭にもっとも近い、かかりつけ医への支援、長期療養施設のあり方など、高齢化した社会を支えるためのさまざまな工夫を積極的に発信できる人材を育成することも、もう一つの大きな目的です。
多くの若い頭脳がこのような分野への参画を希望することを願ってやみません。

大学院横断教育プログラム推進センター特任教授 福山秀直

プログラムへの期待

本人は一人前に基礎医学や医工学の研究をしているつもりでも、今考えてみると、あの時私に解剖や生理の知識が充分にあったら、と思うことが何回もある。もちろん実際にあったところで私の研究成果は何も変わらなかったかも知れないのだが、少なくとも結論に至るまでの時間は短縮できたのではないかと思う。また、工学系と医学・薬学系の先生方が協力して研究を展開しようとしても、なかなか意図が伝わらないもどかしさを双方が持っているように感じる。このLIMSプログラムにより、医学・薬学生に工学の知識、工学研究科院生に基礎医学・薬学を学ばせることは、間違いなくお互いのコミュニケーションを改善しこれからの長寿社会を牽引するリーダーの育成を加速させると確信している。

工学研究科教授 森 泰生

社会からの期待 ~学生へのメッセージ~

<LIMSプログラムに期待すること>
健康長寿は、洋の東西問わず万人の願いであることは言うまでもありません。
統合医療開発リーダーとなるには、専門領域での知識が卓越しているだけではなく、
それらを統合する能力であったり、全体を俯瞰する力が必要だと思います。
その為には、自然科学の枠に捉われることなく、
社会科学の領域までを含めた深層に触れることが重要です。
その上で、社会に貢献する明確なビジョンと、
これを達成する強い意志を持った多くのリーダーの誕生と活躍を心より期待しています。
<LIMS履修生へ応援メッセージ>
社会で立派な活躍をしながらも、多くの人が、何度もやりがいや進む道に迷い自問自答をしますが、
ことやりがいに関して言えば、他人への貢献や感謝される直接度(直結感)が高い程、迷う事が少ないように思います。
LIMSの皆様は、まさにこれから最もやりがいの有る素晴らしいポジションに立とうとしています。
自分の立ち位置はなかなか自分では見えにくいものですが、
これを意識できるのと否とでは、大きくその行動や成果に違いが出るはずです。
今の立場を今よりポジティブにとらえ、多くの人の希望となることを願って止みません。

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Commercial success in biomedical innovation has been based world-wide on close partnerships between academic research and industrial implementation, on the one hand, and between basic science, engineering and medical practice, on the other. The invention and wide exploitation of magnetic resonance imaging (MRI) in radiology, neurology, neuroscience, cardiology, sports medicine, and oncology offer perfect examples of this five-way partnership, and have resulted in excellent career pathways in universities, hospitals and major multi-national companies. These careers have often been intertwined. Major biomedical companies have good reasons to support academic training and research. The broader social and scientific perspectives and the greater conceptual depth that arise from academic education are necessary complements to the brilliance of focused problem-solving found in industrial development, and to the practical needs of healing patients. Graduates of the LIMS leading programme can be expected to have a major impact on the speed and effectiveness of innovation in Japanese biomedical industries, and to establish academic traditions within universities that ensure a continuing supply of such innovators.

Dr. Robert TURNER
Director Emeritus
Max Planck Institute for Human Cognitive and Brain Sciences
Leipzig, Germany

 研究開発成果の社会への実装、グローバル社会での普及を考える場合、国際標準化活動は避けて通れません。そしてそれぞれの分野で国際標準化活動をコントロールしているインナーサークルのメンバーとして認められるためには、10-20年に渡る継続的な関与とともに博士取得者というレピュテーションが重要な要因となっています。本プログラムに参加されている皆さんが、日本の代表として国際標準化活動を引っぱり、グローバル社会にとって良いルールの形成に貢献されることを期待しています。

横田真(日本ゼオン株式会社 経営企画統括部門 部長)

 当社は「光」を通じて未知未踏領域を探求する研究開発型企業です。光の本質を追及することにより新しい「知」を獲得し、人類にとって価値ある新産業の創出を目指しています。
研究所においては、「未知未踏」に挑戦する意欲や、独創性、創造性などが求められます。博士課程の方には学部卒以上の専門的知識と経験はもとより、将来のリーダーとしての課題解決能力や、感性豊かな人間性にも期待しています。

(浜松ホトニクス株式会社)

『社会はどのような人材を求めるか』
自身の研究領域に閉じこもることなく、世界の大きなトレンドや各業界のビジネス慣習などを貪欲に吸収して行き、そこでの課題を専門的な見地から解決できる人材を求めています。『博士人材にどのような期待をしているか』
専門性についても、自らが実際に行った研究自体に固執することなく、その考え方や方法論など、よりメタな知見をも柔軟に活用し、その能力を活かして貰う事を期待しています。

(NTTデータ経営研究所)

 わが国は超高齢社会を迎え、医療費に限っても、総額37兆円(2010年)のうち65歳以上の医療費が20兆円以上といわれており、国の財政や経済にも大きな影響を及ぼしています。このような社会に対応した新たな機器・システムを開発するには、従来のように、医学部の先生と工学の技術者が協力するだけでは不十分です。
本リーディングプログラムの修了者から、国の政策や社会全体の動向にも目を向け、政府関係者を含む専門家と議論を重ねて行ける様な視野の広さと見識、そしてスピード感を持ち、開発を進めていける技術者が育ってくる事を期待いたします。

(機器メーカー)