概要
組織切片の免疫染色は免疫や腫瘍をはじめ多くの医学研究において基礎となる重要な技術である。本演習ではあらかじめ前固定したマウスの脾臓切片を用い、各参加者がクライオスタットを用いて6μmの切片を3枚ずつ作成した。これらのスライスをリンパ球(T/B)、マクロファージとフィブロネクチン、血管のマーカーを用いて多重染色し蛍光顕微鏡で観察した。
参加者の声
今回の演習では、マウスの脾臓を用いて凍結切片の作成、及び免疫染色の技術を習得した。凍結切片の作成は、数µmの薄膜の破れや皺に注意しながらスライドガラスへ固定するという細かな作業であったため、手技の熟練が必要だと感じた。切片を免疫染色することにより、細胞個々を観察するフローサイトメトリーとは異なり、組織内での分布を観察することが可能となる。染色には各細胞マーカーとなるタンパク質に対する蛍光抗体を用いるが、複数種類の抗原を同時に染色、観察すると、より詳細な情報を得ることができる。ただし、蛍光のオーバーラップや蛍光顕微鏡のレーザー数などを考慮する必要がある。今後自分の研究で、マウスの組織切片を作成する可能性があるため、今回の演習で学んだことを活かしていきたい。
本演習以前にマウス大腿骨の切片を作成した経験があったため基本的な実験の流れは理解していたが,本演習を通して凍結切片の作成方法や切片組織の染色方法などを再確認することができ,非常に有意義であった.また,蛍光顕微鏡を用いて,免疫染色した切片の組織学的観察を行い,臨床の現場での病理学的解析方法を学ぶことができた.