LIMSには本当、感謝しています。1だった選択肢が数倍に広がりました。
遠野宏季Profile:京都大学大学院工学研究科修士課程2年、LIMS履修生
医療福祉関係で起業するため平成28年4月より休学予定
―GTEP*受賞おめでとうございます。どんな様子だったか教えてください。
京大がやっている海外企業研修で、社会人としての参加費は25万円なんですが、学生だと5万円なんです。こんないい機会参加しないのはもったいないなあ、っというセコい思いで参加しました(笑)。研修ではイギリスのオックスフォード大学とスウェーデンのルンド大学を訪問しました。その中で与えられたシーズから起業案を立案するコンペがあって、それでベストビジネスプランアイデア賞をいただきました。
―LIMSのことを聞いてもいいですか? LIMSに参加してどうでしたか?
LIMSには本当、感謝しています。1だった選択肢が数倍に広がりました。僕は自分の考えで世の中をより良くしたいという想いで京大に入って今に至りますが、工学部の研究の世界だけ見ていた自分は、そのための手段ってアカデミアの世界にしか無いと思い込んでいた節がありました。それが、あ、こんな手段もあるんだ、って気づかせてくれて、見えない世界が見えるってすごいなと思いました。
―具体的にLIMSのどこがあなたを変えたのですか。
大きく2つあります。1つはプログラムです。特にその中でも座学より実習です。烏丸の高齢者の施設とか地域医療包括センターに行ったんですよ。
―それって医療生活支援システム学の実習ですよね?
はい、そうです。実際に介護や医療を受けている人がいる生々しい現場を見たのは本当に勉強になりました。その現場に最新の方法を取り入れたらもっと楽になるんじゃないかと思うこともありましたが、現場の皆さんは毎日の業務に精一杯なんです。だからこそ僕のような現場を見せてもらって技術も学んできた工学部の学生が現場に還元できるようなものを作る必要がありますし、作るべきだと感じました。
―LIMSのことが役に立っているというのは、じかに聞いたのは始めてでうれしいです。
地域包括医療センターには今年もいったんですけど、あ、あのとき来た学生さん、って覚えてくれてうれしかったです。ビジネスっていうと、お金儲け?って風に見られて構えられたりするんですけど、こういうのって継続していかないとだめなんですよね。1回ボランティアで無料のソフトを作ってもそれだけだと続けていけないじゃないですか。提供する側には報酬が入って、施設はそれで楽になってその分空いた時間をほかに回せて、なおかつ利用する人たちはより快適になる、っていうウィン、ウィン、ウィンの関係が築ければいいなと思っています。
―もうひとつのLIMSにはいってよかったこととは?
研究費です。自由に使える研究費、もちろんLIMSのテーマに沿ってですが。そのおかげで自分の研究室のテーマとは違うが以前から興味のあったICT分野について研究・開発することができました。またその研究費から学会費や遠方にいる大学教授とディスカッションをするための交通費なども捻出して頂けたことで、より自分の視野を広める助けになりました。
―起業の話も聞かせてもらっていいですか?
それは、またうまくいった時に、ということで(笑)。
―わかりました。今日はこちらにとっても嬉しい話を聞かせてもらってありがとうございました。第2弾のインタビューを楽しみにしています。
こちらこそありがとうございました。
京都大学大学院医学研究科にて
遠野宏季君とそのメンターの先生方、鳥井先生(左)、高橋先生(右)
*GTEP: Global Technology Entrepreneurship Program
京都大学がおこなっている起業推進プログラム。