医・分子病診療学演習 「細胞に発現する蛋白、RNAの検出と解析」

概要

本演習では遺伝子発現量をmRNAレベルで検出・定量するリアルタイムPCR、タンパク質レベルで検出・定量するオールインワン蛍光顕微鏡およびマルチスペクトルイメージングの説明・実習が行われた。 リアルタイムPCRに関してはサンプル調整の方法から装置の使い方、さらには得られたデータの解析方法に関しての説明がされた。 蛍光顕微鏡に関してはキーエンス社製のオールインワン型蛍光顕微鏡の使用法や特徴の説明がされ、その利便性を実感することができた。 マルチスペクトルイメージングに関しては講義と実習が行われ、講義ではマルチスペクトルイメージングの検出方法の説明がされ、実習ではマルチスペクトルデータを用いて機械学習によ定量解析を実習した。

参加者の声

本実習ではリアルタイムPCRによる遺伝子発現定量法, 蛍光顕微鏡を用いた細胞観察, マルチスペクトルイメージングを用いた組織定量法を学んだ. このうちApplied BiosystemsのリアルタイムPCR測定システムについては普段から研究で用いているため大抵の内容は把握していたつもりであったが, 検量線の描き方やサンプルの測定法など, 自分が実施している方法とは異なる内容を知ることができ勉強になった. 顕微鏡についてはこれから研究で利用したいと考えていたところだったので, 測定のコツや装置の工夫(画像連結, 位置記憶など)を知ることができて大変参考になった. 最後のマルチスペクトルイメージングについては今回初めて学び, InFormやNuanceを用いた領域の機械学習・定量解析について学んだ. どの領域を学習させるかによってその後の自動分別に影響が出るため, 利用にはコツが必要であるように感じたが, 近年は機械学習を用いた画像認識分野が目覚ましく発展しているため, 今後のライフサイエンス分野と情報学的定量解析技術との融合が更に求められるように感じた.

今回の演習はRT-PCRの原理と応用、蛍光顕微鏡の実際の使用方法及びマルチスペクトルイメージングの組織切片観察への応用に関する内容からなる。まずはRT-PCRの原理と応用についててであるが、今回もう一回基礎原理から復習することで、今までの実験中で意識しなかった点を再び勉強し、そして別の人の実験方法を自分のやり方と比べ合わせることで、長短を補い合って、今後の実験の改善には役に立てると考える。次にキーエンス社製の蛍光顕微鏡の操作の仕方を勉強した。今まで測定の設定に非常に大変であったプロセスをシンプル化することで、もともと長い操作時間が短縮され、効率が大幅に上がるのはこの顕微鏡の特徴である。また今回の実習によって、工学の進歩が医薬の研究に非常に大きなメリットがあるのを意識し、を医工連携の重要性を再び認識した。最後のマルチスペクトルイメージングの組織切片観察でAIの解析によって、実験結果を自動的にまとめることが可能になっている。これからAIの進化とともに、データ解析の効率の上昇とともに、科学研究全体が恵まれると考える。

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