第2回SOGO学術委員会学生懸賞論文 最優秀賞

第2回SOGO学術委員会学生懸賞論文 最優秀賞を受賞して

医学研究科 生体構造医学講座 形態形成機能学

佐久間 真紀

 

秋学期にLIMSの医療経済学の授業を履修しました。こちらで、単純に技術的に高度な医療や、最新の研究成果を取り入れた医療によって、「進歩」はしたと言えるかもしれないが、医療の進歩は経済的な負担を増やすだけで少子高齢化社会が直面する様々な問題は解決しないという、あまり考えたことのなかった考え方に出会いました。確かに研究を進めることで、今まで治らなかった病気が治るようになることは素晴らしい成果ですが、実際にこの治療法のコストによっては、「技術的に可能である」ことと「現実的」であることは別であることも確かです。既に厳しい財政状況のなかで、革新的で高額な医療を行うことで、さらなる寿命の延長を達成し、さらに医療費を膨らませるという方向性は、社会的な要請に応えていることになるのかはなかなか難しいところだと思います。このように考えているとき、たまたま所属する研究室の棟に少子高齢化と医療をテーマにした学生懸賞論文を募集しているとの大きなポスターを見つけたので、LIMSの医療経済学で学んだことをもとに、自分で少子高齢化における医療を考えてみようと思い、作文しました。

内容としましては、まず少子高齢化の医療といったときに、医療財政が立ちいかなくなる危険性をはらんだ人口構造であることが問題であり、経済効率を重視した医療が必要であることをまず述べ、経済効率を重視した医療がどのようなものかについて議論しました。一番コストがかからないのは医療を提供しないことですが、私たちが目指しているのは限られた資源の中でどのような医療を提供すれば、将来世代にわたって、最大限の幸福をうみだすことができるかであり、私たちが一番に考えなければいけないのが、何をもって最大限の幸福とするかであります。だれもが最高の医療を尽くしたサービスを受けられるのが理想ですが、そういうわけにもいかなくなっている社会では、医療技術を適切に評価し、コストに見合う効用の得られる医療を選択し、安価でできる生活習慣の改めを促し予防を進める、最終的には延命第一の価値を転換し、どのような生き方、死に方が幸せなのかを考え直す必要があるといったことをまとめました。

今回の懸賞論文を書いてみて、LIMSでは医療経済の授業だけでなく、加齢医学や様々な公開講義、企業講師のお話などを通して、様々な角度から少子高齢化の問題に対応するための試みを学ばせていただき、それらが医療システムのなかのどのパーツなのかを自分のなかで整理することができました。この過程で、医療システムの全体像も少しずつでも把握することができ、その中で自分がどういう立ち位置で関わっていきたいのか、いくべきかなど考えるきっかけになりました。

%e7%ac%ac2%e5%9b%9esogo%e5%ad%a6%e8%a1%93%e5%a7%94%e5%93%a1%e4%bc%9a%e5%ad%a6%e7%94%9f%e6%87%b8%e8%b3%9e%e8%ab%96%e6%96%87t