医療の現場において検査や画像解析に関する先進医療機器、また在宅医療介護やリハビリテーションにおいて医療支援システムがどのように応用されているかを理解することを目的 とし、講義および実習を行った。
【生体検査・画像解析法】
1.講義
1.1 オミックス解析による病態解析
臨床検査の医療における役割と新しい診断薬開発の方向性を学んだ。
・個別化医療における臨床検査の役割:先制医療、コンパニオン診断
・新たな診断薬開発のためのオミックス解析による病態解析:プロテオミクス、メタボロミクス、ゲノミクス
・新たな免疫制御因子 IDO:創薬と診断薬開発
1.2 医用画像機器
生体組織の形態や機能を画像化する様々な医用画像機器についての特徴および原理の概要を学んだ。また、それらによって得られる種々の臓器の画像の例、さらに同じ部位を異なる方法で画像化し、それぞれの特徴を比較した。
・様々な臓器の形態画像:胸部 X 線、胃 X 線造影、消化管撮影、冠動脈造影、マンモグラフィ、断層撮影装置、頭部 X 線 CT、心臓3次元 X 線 CT、全身 MRI
・頭部の様々な画像(形態や機能):X 線 CT、MRI、SPECT、PET、fMRI、脳血管造影、MRA、NIRS
・光、超音波による形態や機能の可視化:サーモグラフィ、眼底写真、眼底 OCT、内視鏡(胃)、内視鏡(大腸)、カプセル内視鏡、内視鏡(血管)、超音波内視鏡、腹部超音波
2.実習
生体検査法として、フローサイトメトリーについての講義および実習を行った。まず、フローサイトメトリーの原理およびそれによって得られる情報、適用対象についての講義を行った。実習では、フローサイトメーターを用いて血液を計測した。また蛍光標識抗体の有無による結果の違いを観察するなどし、検査装置によって得られる情報について考察した。
3. 学外研修
医用画像機器、検査機器を開発する島津製作所を訪問し、分析装置や画像診断機器等について見学を行った。それぞれの装置の説明を受けるとともに、開発における話を伺う、実際に触れるなどし、様々な機器やその開発、応用について学んだ。また X 線画像診断装置等の画像診断機器の製造過程を見学し、医療機器がどのように製造されているかを学んだ。
【リハビリテーション】
超高齢社会をむかえた我が国において、高齢者リハビリテーションは喫緊の解決すべき課題である。リハビリテーション(理学療法、作業療法)についてその概要を学ぶと共に、リハビリテーションにおける医療・福祉・在宅ケアの統合の重要性を理解し、さらに従来の医工連携の枠組みを超えて、医療現場のニーズに立脚した総合医療システムを開発する医工学の必要性を考察することを目的に講義、実習を行った。
1. 講義
リハビリテーション(理学療法、作業療法)について、その概要を学んだ。
1.1 理学療法
・何が求められているか
・現状認識:高齢化率と障害、疾病、平均在院日数
・回復期リハビリテーション病棟
・病院で完結しないリハビリテーション:維持期リハビリテーションの重要性
・リハビリテーションの語源
・理学療法の対象と領域
・新たな機器開発の時代
1.2 作業療法
・作業療法について:語源、特性、機能、対象、手段、領域
・作業療法でもちいる作業
・歴史、日本および世界における作業療法士数、養成施設数
・作業療法の分類
・精神認知機能領域作業療法
・身体障害領域作業療法
・障害の具体例、リハビリテーションの具体例
2.実習
京都大学医学部附属病院のリハビリテーション部において、理学療法士、作業療法士に付き、リハビリテーションの臨床で行われている理学療法、作業療法それぞれについて現場の見学を行うことにより講義で学んだリハビリテーションについての理解を深めた。